きすみらくる

ジャニオタもすなる日記

2019年9月の話

忘れないうちに残しておきたいと思いつつ、ずっと書けなかった話。2019年9月、台風15号の話。ちょうど1年前の記憶、覚えている限り時系列で書いてみようと思う。


◎はじめに(基本情報)
筆者について。20代半ば、女性。千葉県民。詳しくは言えないけど市民のために働く人。一人暮らし。


【2019/9/6】
週の終わり、金曜日。なんだか窓口が荒れている。比較的穏やかな職場なのに、めずらしく怒鳴り散らす人が続出。隣の席の先輩と「どうしちゃったんでしょうね?」「ほんとめずらしいですね」なんて話していた。
今になってから思うけど、もしかしたら、このときから敏感な人は何かを感じ取っていたのかもしれない。普通じゃない、何かを。


【2019/9/7】
土曜日だけどイベントにブース出すために出勤。午前中まるっと働いて、お礼の品をもらって、諸々の片づけしたり報告書作ったりして帰宅。消防主催のイベントで防災系のグッズをもらったが、まぁいつかのためにしまっとこ、くらいにしか思っていなかった。


【2019/9/8】
貴重な休み。特に何をしたわけでもないけど、夕方くらいからめちゃくちゃ頭が痛い。台風きてるからかな?えっ、明日の電車が計画運休になってる?明日朝イチで外出る仕事だから遅れられないし困るなぁ…………… と、いろいろ考えていた。
夜になって先輩から「明日私が職場にたどり着けなかったら、約束してる○○さんに遅れる旨伝えてほしい」とお願いの連絡が入った。私は「わかりました!私がたどりつけなかったときは、先方の予定もつぶれるはずですよね!笑」なんて、半分冗談で返信した。結果的には、私は定時に職場にたどりつけなかったし、先方の予定はすべて流れたんですが。詳しくは後ほど書きます。
どうやって職場に行こうか考えるが、朝になってみないとわからないな!となり、早めに寝ていつもより早く起きなきゃな、と思いつつ就寝。


【2019/9/9】
4時か5時くらいだっただろうか。凄まじい風の音で目が覚める。うとうとしていると、今度は非常ベルの音で目が覚める。は?火事?嘘でしょ?と思いながらも、この風で火事はさすがにやばくない?しぬじゃん?とりあえず安全確認するしか??と思って外に出る、が、暴風雨。4階の自室から1階まで降りて大元の機械を見て3階で鳴っていることを確認。3階のいちばん階段よりの部屋のインターホン鳴らしたらおじさんが出てきた。はじめましてのおじさんに「こんなに朝早くにすみません、私上の階に住んでる者です。非常ベルがこの階で鳴ってるみたいなんですけど、火事ではないですよね?」と、念のために確認。火事ではないようだった。おじさんは、非常ベルの止め方がわからず消防に連絡してしまった、と話はじめ、この天気なので火事でないならば消防も来られないとのこと。とりあえずグーグル先生に非常ベルの止め方教えてもらって自力で止めた。めちゃくちゃビビったけど止まった、よかった。たぶん暴風で何か物が飛んできてベルのボタンに当たったんだろう。どんな衝撃………。
さて、こんなことをしていたら5時台後半。テレビつけたら台風上陸したとか報道されてる。いや、上陸したのここじゃん………(合掌) まてまて、仕事どうする?と思ってたら、試験的に作ってた職場の災害用のLINEが稼働する。警報が出ると管理職は出勤しなければいけないシステムなので、職場に詰めてる管理職からの連絡だった。「4時から職場は停電、倒木多数、〇〇駅崩壊」さすがにヤバい情報すぎて、これは普通ではないことを自覚。
前日に連絡取り合ってた先輩からもLINEが入る。今日の事業どうします?中止?みたいなやり取りしてる間に、避難所開設します、とか明らかにヤバい防災メールがひっきりなしに届き始めて、事業中止のお願いを管理職に伝えた。たぶんこれが6時台後半くらいだった気がする。この風がおさまるまでは出勤はやめよう、と決めた。
8時くらいになって、少し外が落ち着いてきた。電車はダメだが、どうやらバスはかろうじて動いているらしいので、職場に向かってみることにした。
外に出て衝撃を受けた。近所の倉庫のトタン屋根が吹っ飛んで道のど真ん中に転がっていた。何だこれ……………。コンビニに寄ってみたら、停電していた。でもパンを売ってくれた、ありがとう。大きな道路を挟んだ先はどうやら停電しているらしいと察する。信号がついてないし。バスを待っていたら、警察が駆けつけて交通整理してた。よく見たら街路樹はなぎ倒されてるし、異世界に迷い込んだ感覚だった。
だんだん晴れてきて暑くなってきたころ、バスがきたので乗り込む。全然進まない。信号が止まってるし、倒木で片道ふさがれているから、って理由は車窓から察した。何分かかったかわからないけど、職場の最寄りについた。
聞いていたとおり、停電の職場。晴れているのに薄暗い。そして暑い。先についていた人たちに「よく来られたね!」と声をかけられる。
窓際の明るめの長机で電話を入れている先輩に混ざり、人工呼吸器つけてる人たちに安否確認の連絡を取り始める。どうやら職場の電話は非常電源で使えるらしい。自宅停電の人は多く、簡単にまとめると、この対象者たちを安全なところに誘導するなどしている間にこの日は夕方になってしまった。いろんなドラマがあったけど、個人情報保護のため割愛。
夕方になっても復帰しない電気。電気つかないね、本当に今日つくのかな?みたいな話をしてたような。停電の建物は日が落ちると何も見えなくなるので、この日は18時には職場を出た。電車は動く気配がないので、上司の車に乗せてもらい、自宅近くで落としてもらった。道路はめちゃくちゃ混んでた。
心身ともにぐったりの状態で帰宅。テレビをつけると、津田沼駅の混雑が報道されていた。このときにようやく気づいた。もしかして、みんな千葉が停電してること知らないの?????
東京の人は、この停電を知らない、知らないから、報道もされない、停電していることを知っているのは、停電しているところの人だけ、だって、電気が使えないなら、情報の共有はできないから……………。
そして、ようやく、ようやく気づく。県南の実家から何も連絡が来ていない、と。そこまで頻繁に連絡は来ない家庭だけど、台風とか地震とか、災害のときにはだいたい何かしら連絡がくるのに。
LINEを送ってみたら、妹から電話がかかってきた。途切れ途切れの電波で聞き取った話を要約すると「自宅はずっと停電している、いまは車で涼んでいる、祖母の安否はわからない」と。
この日は、ひっそりと、千葉が被災地になった日だった。


【2020/9/10】
テレビの中は日常が流れているのに、自宅のすぐ先は今もずっと停電している、不思議な世界。
今日も電車は動いていないようだ。バス停で職場の先輩と合流できて、少し心強かった。出勤しながら、交通機関の情報を職場のLINEで共有。
職場の電気は復旧していなかった。今日も暑い。キンキンに冷やしたペットボトルと氷だらけの水筒、着替え、24コンの雪だるまペンラ…………… 停電を覚悟して持ってきた荷物は全部活用した。
事業の中止の連絡と、翌日のどうしても中止にできない事業の対策を考えて、この日は終わった。
バスで帰宅。自宅に電気が通っているありがたみをめちゃくちゃに感じる。
今日も実家は停電したままらしい。


【2020/9/11】
確かこの日くらいから、千葉がヤバいと報道されてきた気がする。ようやく気づいたか、と思った。
今日もバスで出勤。職場の電気は朝方復旧したらしい。どうしても中止にできない事業がおこなわれている最中にちょっと停電したけど。真っ暗になって焦ったけど、真っ先に来場者の安否確認した自分マジでえらいと思うし、いざとなれば冷静に動けるんもんだね。
この日の夜、実家の電気が復旧した。母と妹のツーショットが送られてきて少し安心した。


【2020/9/12】
やっっっと電車で出勤できた。職場につくと、私が担当しているエリアがずっと停電していると言われ、急遽状況確認に出向くことになった。先輩を隣に乗せて運転したけど、信号が機能してない道の運転はさすがに怖かった。
情報とりつつ、物資を配りつつ、なんかいろいろやった。


【2020/9/13】
今日が何曜日なのかよくわからなくなってきた。たぶん金曜日。日中何をしていたのか詳しく覚えてないけど、夕方に「連休中も当番制で勤務あるぞ!」という情報が入り、管理職が集まって会議してた。ひとまずシフトが組まれ、私は3日後の出勤が決まった。実家がヤバいということを配慮されたらしい、ありがたい。


【2020/9/14】
ささやかな救援物資を持ちながら、復旧したばかりの電車で実家方面に向かう。実家のひとつ手前の駅で降りると祖母宅に歩いていけるので、祖母の安否確認のためにこの駅で降りた。簡易の改札機は停電で機能していなかった。よく知った道が電柱なぎ倒しの道として報道されていたのでめちゃくちゃビビってたけど、キレイに直されていた、すごい。
祖母は無事だった。認知入ってるから本当に本当に心配してたけど、伯母も一緒にいたらしく、ニコニコしてた。よかった。
母が祖母宅に合流し、母の車で私は実家へ。母「案内してあげるよ!」と言いつつ、ちょっと遠回りでいろんな道通ってくれたけど、私が知ってる地元が破壊されてて、なんか、うまく喋れなかった。謎の冷静さは保ってるから、これ記録しといたほうがいいよな、と思って数枚写真を撮った。
実家には妹がいて、この1週間のことをお互いに話した。母と妹は、「うちは全然いい方!海沿いは本当に悲惨」としきりに話していた。まぁ実家の瓦何枚も飛んでるし、私の部屋の窓ガラスぶっ飛んでたけと、確かにマシだよ、住めるし、電気通ってるし。
少し先が雨予報らしく、みんな屋根飛んでるから、この日のトレンドは雨対策。とにかくブルーシートを確保しないと話にならない。母も妹も疲れ切っていたので、防災無線で言ってた場所と時間を頼りにもらいに行った。2か所行ったかな?無事にブルーシートと土のう袋のセットをもらえた。海岸のある田舎だから、土のうに詰めるのは海岸の砂だったな。
台風上陸した日からずーーーっと帰ってきていなかった父が帰ってきて、屋根に登ろうとするもんだから、必死に止めた。素人が屋根登ってケガ続出してたので。幸いにも実家を建てた大工さんがブルーシートかけてくれることになったのでよかった、ほんとありがたい。
たぶんこの日だったよね?ワールドカップバレーの初戦。見てなかったけど。見る元気もなかったけど。大好きなジャニーズWESTスペシャルサポーターだったけど。
本当はこの日のうちに自宅に戻るつもりだったけど、実家は思っていたより不自由していなそうなので、泊まることにした。


【2020/9/15】
1週間分の疲れをようやく感じてきて、ぐったりしてた。この日のことはあんまり覚えてない。予定だとこの日は地元の大きな祭りの日だったけど、山車や神輿は中止。出店は出てたらしい、とか聞いた気がする。翌日の出勤に備えて、自宅に戻った。


【2020/9/16】
雨。大雨の中、停電エリアの状況確認のため出勤。しんどかった。救援物資に埋もれながら車に揺られて、ダンボールの横でおにぎり食べて。そしてまた新たな停電エリアで救援物資を配り。住民さんが優しくて。でもやっぱ疲れた。




……………………………


台風前後の記憶、こんな感じ。
いやぁ、ひどい文?文なのか?
事実だけ書いても仕方ないので、学んだことを書いていきます。

……………………………




★停電は災害になりうる

前代未聞の大規模停電。電気で動くものが使えない不便さは想像ができると思うけど、いちばん怖いと感じたのは「情報伝達ができないこと」
職場は非常電源で電話は使えていたけど、ネット回線は全滅。別の建物からメールがいろいろ送られていたらしいけど、全く気づけない。情報をキャッチできないし、発信もうまくできない。これ、めちゃくちゃこわい。
報道もそう。これだけ停電しているんだ、マズイ状況なんだ、ってことが何も外部には伝わらない。伝える手段がない。外部から情報を拾いに来てもらわないと、伝わらないし、理解してもらえない。
停電のときは、「頼りがないのは悪い知らせ」と思ったほうがいい。



★夏の停電で対策するべきこと

熱中症対策。これに尽きると思う。自宅は停電を免れたけど、職場が停電していたので、出勤時はキンキンに凍らせたペットボトルや氷だらけの水筒を持っていった。ウイダーとか冷やして持ってくのもオススメ。冷たいタオルもいいかもしれない。
あとは、車持ってる人は、ガソリンさえあれば冷房つけられるから、田舎の人たちみんな車で寝泊まりしてた。



★メンタルの保ち方

大規模停電が他の災害と違うところは、停電が復旧したらたいていの問題が解決されることだと思う。何日も電気のない生活してると気が狂いそうになるらしいけど、電気が通るとみんなたちまち元気になる。電気ってすごい。自宅に電気が通ってなくても、自家発電のお店とかは空調効いてるし、そこで休むのもアリ。持続性はないかもしれないけど、身体的にも精神的にも少し元気になる。あとは誰かと一緒にいること。なんか知り合いの顔見るだけでめちゃくちゃ安心する。



★日頃からできること

停電に関して言うと、家のブレーカーいったん落としてみるといいよ。集合住宅なら、うちは水も止まるんだな、とか、なんかいろんな発見がある。
ちなみに私は停電してるのに訪問先でインターホン鳴らそうとしてしまった。電池で動くチャイムとかじゃなければ、もちろん鳴りません。
オタクはみんなやってると思うけど、コンサートのペンライトは手に取れる場所に置いておくといい。コンサートで扱いにくい変わった形のペンライト(もはやペンではない)ほど、停電では役に立つ。24コンの雪だるまペンラが職場で好評だった。
買ったまま放置してた、なうぇすとの水筒も、氷の保管に役立った。役立つもの、わざわざ買わなくても、家に意外とあったりするから、宝の持ち腐れにならないようにするといい気がする。
消耗品の備えは、だいぶ浸透してるけど、ローリングストックがオススメ。たとえば、2リットルの水より、使い勝手のいい500ミリの水の複数のほうが普段使いもできるから、大々的に備えなくてもいい、というか。使ったら買う、食べたら買う、を繰り返すだけで備蓄できる仕組みを作ってしまえば楽。
あとは、スマホをどう生かしておくか。電波さえ入れば無敵だから、モバイルバッテリーは持っておいたほうがいい。最悪電波入らなくても、ライトとして使えるし、ワンセグ使えるならテレビ見られるし、有線のイヤホンさせばFMラジオ聞けたりするので。車持ってる人は、専用のソケット持っておくといいらしい。たぶん地元は車社会だからみんなソケット持ってる。



★季節に合わせた備えを

冬の災害は経験したことがないけど、冬には冬の対策が必要なんだろうな、と想像している。ちなみに、夏の大規模停電で、カップラーメン食べようとは1度も思わなかった。3.11の停電時に食べたカップラーメンはすごくおいしかったけど。備蓄する食べ物選びって意外と重要なのかもしれない。
あとは何だろうね。とにかく風邪ひかないように、とか?難しい………。




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まとまった文を書くつもりなかったけど、にしても、まとまってなさすぎるな?

記録だから、まぁいっか。

本当はもっともっといろんなことがこの1年あったけど。
台風19号とか
豪雨災害とか
コロナとか

めちゃくちゃいろいろなことがありすぎたけど

もうこれ以上なにもないといいな、と思います、本当に。

できる備えはするけども。



以上、突然地元が被災地、被災者になった人の話でした。